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ドラッグストアの決算をみて

  • 合同会社メドリエスト
  • 7月11日
  • 読了時間: 3分

ドラッグストア大手各社の業績が好調のようです。今ではコンビニ以上に生活になくてはならない存在になっている印象は否めません。


筆者が調剤薬局大手企業で店舗開発の担当を始めた20年前でもドラッグストアの勢いはあり、駅前の好立地やロードサイドではコンビニとドラッグストアが競って出店していました。しかしいまはサービスの質に大きな変化があると思います。当時のドラッグストアは市販薬や衛生、美容関係又は生活雑貨のディスカウントストアというのが実態で、価格訴求の業態という印象が強かったと思います。デフレ日本の申し子ともいえる存在だったのかもしれません。もちろん調剤も行っている店舗もありましたが、多くの利用者は医療機関に貼り付いた調剤薬局に院外処方箋を持ち込むのが一般的であったことは確かです。一方で、医療機関とマンツーマンの関係にある調剤薬局では待ち時間の問題はなかなか改善されないのが実態でした。


院内処方から院外処方に切り替える医療機関が増えるにつれて、長期的に想定されたのが院外処方箋の分散化です。本来院外処方箋は医療機関に紐づいていないので、「場所に関係なく調剤ができる店舗に持参してもよい」ということに利用者が気付き始めることは容易に想定できました。もちろん根付いた行動パターンが一気に変わることはないですが。

筆者は長期的な視点で「面対応型」の調剤薬局出店プロジェクトに参画していましたが、簡単に消費者行動が変わるはずもなく、当初は売上面でも非常に苦労しました。ところが粘り強い店舗での取り組みなどで利用者が増える兆候は確実にありました。いまはメディカルモールの機能と融合し、駅前など生活の場に調剤薬局が入り込んでいます。


「面」からの院外処方箋に対応する過程で、筆者はドラッグストアの優位性を認識させられ、いずれ「調剤」というセグメントでもドラッグストアが調剤薬局の強力な競争相手になることを確信しました。基本的に調剤のみを行う調剤薬局に対し、ドラッグストアは物販を通じて集客力が明らかに高く認知もされやすいのは確実でした。しかしながら15年以上前の筆者が在籍した企業でも「調剤」に関してはドラッグストアとは明らかに質の面で差別化できており、「競合先になることはあり得ない」という意識が強かったのは確かでした。筆者の見解は嘲笑されたのが現実でした。


その後のドラッグストアにおける食品も含めた品ぞろえの強化や、調剤部門を意識した採用、教育面の強化などの経て現在に至っていることはご存じの方のほうが多いでしょう。M&Aもしかり。クリニックモールの企画でもドラッグストアの存在感は大きく変わってきています。


医療を取り巻く環境は今後も大きく変化するのは確実と思いますが、調剤に関して軸となる存在もますます変化し業界の再々?編もさらに進む予感はします。


固定概念からの脱却と柔軟性がさらに重要になるのかもしれません。




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